Kudo3D Titan1の出力用データ作成について
3DプリンタKudo3D Titan1の出力をより良く行うための手順を紹介します。
まえがき
Kudo3D Titan1は、PCの映像出力をプロジェクタで投影し、UVレジンを積層硬化するタイプの3Dプリンタです。
Titan1の制御ソフトは、3Dデータをスライス(高さ方向に一定の間隔で、3Dオブジェクトのある部分を白抜きとした画像(または投影部をアウトライン化したベクトルデータ)ファイルに変換すること)する機能もあるにはあるのですが、速度や機能的に問題がありました。また、本制御ソフトにはサポートを付与する機能もなく、何れにせよ外部ソフトに頼らざるを得ません。ならば、この際スライス自体外部で行ってしまっても、効率的には大して変わらないわけです。
幸いなことに、Titan1の制御ソフトは、スライス画像をZIP形式などでアーカイブしたものを読み込み、条件に従って順次投影する機能があります。
そこで、いくつかのソフトを経由することで、必要なスライス画像を準備し、所定の条件を満たすZIPファイルを作成することで、Titan1の制御ソフトのスライス機能に頼らずとも出力可能とすることを目的としています。
1.サポートの付与
3Dプリンタで3Dデータを出力する場合、サポートと呼ばれる補助形状を3Dデータに付与しなければなりません。Titan1ではその手段が提供されないため、手段を考えねばなりません。
条件として、以下を満たす必要があります。
- サポートを付与できること。
- 付与したサポート付きの3Dデータを書き出しできること。または、流用可能なスライスデータを出力できること。
以下に、幾つかの手段とサポート付与ソフトを紹介します。何れもサポート付きの3Dデータを取得できますが、スライスデータを出力できるだけでも利用に叶う場合があります。例:Autodesk Print Studio(制限事項が多く、開発が止まっているため紹介しません)
正直言って選択肢が豊富とは言えませんので、有償無償を問わず、他に良いソフトなどありましたらご紹介いただきたいです。
3Dソフトでモデリングする
3Dモデリングソフト・3D-CADなどでサポートをモデリングしてしまう方法です。ある程度パーツをライブラリ化したり、マクロを組むなどすれば、人によってはむしろストレスなく運用できると思います。
メリットとして、サポートの自動付与機能と比べて融通が大いに効きますので、細かな改善による出力品質の向上も期待できます。
やまもとの場合、主にRhinocerosのモデリング機能と、Rhinoceros用の有償のサポート付与アドオン(現在非公開)を使用しています。これ、開発者が(売れないので)開発を辞めてしまったんですよね…
Meshmixer
現在Kickstarterの出資者に発送が始まっているBean 3Dプリンタによれば、現在はKudo3D的にはMeshmixerを使用してサポートを付けるように指示しているようです。
ChiTu DLP Slicer
とある3Dプリンタのサポ付け/スライスソフトとして添付されているものの元となったものようです。このソフト、サポート付与状態の3DデータをSTL形式で書き出しできます。太っ腹ですね。
自動サポート機能はやや甘いようですが、手動で補えばまずまず使えるんじゃないでしょうか。
スライスデータは独自形式のようですが、制御基板買ってTitan1と組み合わせればシームレスに使えるのかな?などと余計なことを考えてしまいます。
UNYK Professional
良さそうな有償サポート付与ソフト。ちょっと趣味には高い($980/Year)のですが、年中出力する人には良いかもしれません。
デモ版を試してみようとしましたが、なんだか上手くいかないので評価は行っていません。
nanoDLP
あとで詳しく紹介しますが、このソフトにもサポート付与の機能が付きました。手動ですが、無いよりは良いかも知れません。
Creation Workshop
シェアウェア化した後消えてしまいましたが、フリー版最終バージョンは今でも入手できるので、一応選択肢にはなります。
2.スライスを行う
サポート付きの3Dデータ(*.stl)が取得できたら、次にAsiga Stompを使用して*.slc形式のスライスデータを作成します。 slc形式というのはあまり馴染みがないと思いますが、積層厚ごとのスライスを「ベクトル形式で」格納した形式と考えれば良いようです。
Asiga Stompは、同社の3Dプリンタ用のユーティリティのうち、STLデータのチェックと、STLsという圧縮STLデータの普及を目的に、無償で公開されているソフトです。
このStompは、なぜか上記のslc形式でのスライスデータの生成を高速・高品質に行うことができます。
本来は画像のスライスデータを得たいのですが、後に利用するスライス・制御ソフト(NanoDLP)のSTLスライス性能が低いので、前段として、本ソフトでスライスデータを生成しています。
(つまり、nanoDLPのSTLスライス性能が向上したら、この工程はスキップできます)
Stompの使い方は以下の通り。
- サポート付きのSTLデータを読み込む。
- 「File - Export Slices...」を実行する。

- slcデータの保存場所を選んでファイル名を入力。
- 「Slice tickness」に出力予定の積層厚さを入力してOKを押す。 )
- 念のため、slcデータをAsiga Sleeceで確認する。

3.スライス画像を作成する
次に、slc形式のスライスデータを画像データに変更しなければなりません。上記のslcビューア「Sleece」に実は画像生成機能があるのですが、ややインターフェース的にオペミスしやすい気がするのと、特に結果に特徴があるわけでもないので使用していません。
ここでは、上記で少し触れた「nanoDLP」というスライス・制御ソフトウェアを使用します。
nanoDLPは、本来Raspberry Piで動作する、DLP 3Dプリンタ組込み用の制御ソフトとして公開されているものです。現在ではWindows用の実行ファイルも公開されており、ここでは本ソフトのスライス機能だけを利用します。
- ここの下の方から、Windows用のファイルをDLして解凍します。画像ファイルが大量にできるので、空きのあるデータディスク上に移動すると良いです。
- 解凍されたフォルダ内の「nanodlp.exe」をダブルクリックして実行します。
- 管理者モードの実行許可、Windowsファイアウォールの通信許可など表示されるので、許可します。
- Webブラウザを起動し、「http://localhost:8080」にアクセスします。
- nanoDLPの画面が表示されます。
- 上部より「Setup - Hardware Setup」を選択します。
- 「Display」の項目より、必要な設定を行います。H/V Resolutionは搭載プロジェクタの解像度(Titan1は通常1920x1080)を、X/Y Resolutionは別途キャリブレーションを行うなどした設定値を入力します。
- 直接3Dプリンタを繋ぐわけではないので、他の設定値は不要です。PJのレンズ歪みの値も入れられるようなので、検証して入力してみても良さそうです。
- 設定値をSubmitして反映させます。

- 上部メニューより「Resin Profiles」を選択します。
- 「Add Profiles」ボタンを押します。
- 実際に制御するわけではないので、画像生成に関わる部分のみ入力して設定を作ります。ただし、数値の入力が必須の項目が多いので、既存の設定をCloneした方が楽かもしれません。


- 作成した設定を「Make Default」します。
- 上部メニューより「Plates」を選択します。
- 下記部分を編集してSubmitします。

- 画像生成が自動的にスタートし、計算完了後、下記の通り画像の確認とダウンロードできます。

- 生成された画像は、nanoDLPインストールフォルダ以下の「public\plates」にあるので、直接アクセスしてデータコピーしてもいいでしょう。
4.ファイル名の変更とZIP圧縮
生成された画像のファイル名は桁が固定されておらず(1,2,3…9,10…99,100,101…)、Titan1の制御ソフトでは表示順が狂ってしまいます。
そのため、ファイル名変更ソフトを使用して、事前にファイル名を付け直しておきます。
ファイル名変更にはAdvanced Renamerを使用します。
- 「Add method」を押し、「New Name」を選択し、連番付与のルールを設定します(画像参照)。
- 「Rename Files」タブから「Add Directory」し、生成されたスライス画像のフォルダを指定します。このとき、Maskでpng画像のみを指定すると良いでしょう。
- ファイル名変更結果をプレビューで確認し、「Start batch」します。

- リネームされた画像ファイルをすべてZIPファイルに圧縮し、なるべく短い名前を付けます(ファイル名によってはTitan1の制御ソフトが認識しないため)。
5.出力
あとはTitan1の制御ソフト(そう言えばなんて名前でしたっけ、、、)で読み込むだけです。
テストプリントしてみて、左右が反転する場合には、プロジェクターの設定で左右を反転するか、nanoDLPの設定で出力画像を反転することで解決できます。
あとがき
Titan1ならではの冗長さで大変面倒ですが、この手順においては多くの部分で試行錯誤をする余地があり、非常に探究心をくすぐられる3DPであったと言えます…と過去のものにしようとしたところ、どうやらBeanでも似たようなプロセスを踏む必要があるかもしれないとのことで恐々としています。
ええ、自分も出資しちゃったので、、、
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